タイトルの答え:明確なビジョンがない限りなしです。
会計士としてのキャリアスタートをどこでスタートさせるか決めていますでしょうか。
私は、勉強しているときは全く考えていませんでした。
試験に受かることがゴールになってしまっていて就職をまったく考えていなかったのです。
受験友達もいなかったので、各監査法人の特色もしりません。
正直な話、
どこでもいいや。
というのが本音でした。
しかし、10以上は応募した監査法人からの内定はゼロ。
唯一の内定は、税理士法人のみ。
この時の私は、
まぁ、実務要件満たせるし、人と違うキャリアもいいんじゃない。税務も得意だし〜。
程度にしか捉えていませんでした。
しかし、大きな誤りでした。
監査法人でスタートするか、税理士法人でスタートするか。
そこには大きな違いがあり、違いを理解した上で意思決定すべきです。
税理士法人で会計士試験の知識は活かせない
当たり前ですが、税理士法人は税務がメインの仕事です。
会計監査の仕事はありません。
せっかく勉強した会計基準や監査基準を使用する場面がありません。
例えば、固定資産の減損会計。
減損の兆候や認識など、論点が多く会社としても決算で気を使う論点の1つです。
しかし、法人税では固定資産の減損は損金に算入されず加算されて終わりです。
このとき、クライアントは固定資産の減損を認識するかどうかは税理士法人に相談しません。
上場企業であれば、監査法人に相談します。
監査法人の監査を受けていなければ、わざわざ減損会計適用しないので税理士法人に相談しません。
つまり、税理士法人に勤務している会計士に固定資産の減損論点を相談する機会がないのです。
会社からすると、会計処理ありきで税務の処理を聞いてきます。
会計処理の正しさは確認しません。
長期間勉強して取得した知識もあるのに、クライアントから聞かれるのはよくわからない税務のことばかり。
周囲は、税理士なので当然知識も豊富です。
なんでそんなこと知らないんだという先輩税理士からの視線がツラくなってきます。
私の場合、毎日終電で土日も出勤でしたので勉強する時間も中々確保できませんでした。
毎日毎日叱責され、孤独感が強くなっていきます。
大学時代、一生懸命勉強して取得した資格なのに全く活かせていない。
私は、何がしたくて会計士を取得したんだろうと自問自答を繰り返す日々でした。
そして、1年間耐えたあと私は転職に踏み切ります。
この経験が全く無駄になったとは言いませんが、精神的に追い込まれたのは事実です。
明確なビジョンがあるならともかく、なんとなく税理士法人に行くのはお勧めしません。
マイノリティのツラさ
補習所が始まると同期の大半は監査法人に勤務しています。
1年目特有の悩みを共有できないのも寂しいです。
最初は、税理士法人に勤務している新人などほとんどいないので珍しさからたくさん話しかけられます。
しかし、仕事が本格化した後は話は別です。
同期が、確認状、実査、棚卸しなど新人特有の悩みやイベントで悩んでいる時に一人蚊帳の外。
かなり寂しいです。
職場も大半が税理士。
会計士同期しかいない補習所でも、圧倒的少数派。
孤独感だけが強まります。
私のコミュニケーションスキルが低いのもありますが、マイノリティでスタートするのはそれなりにハンディキャップを背負うことになります。
その覚悟がありますか?
最初から税理士法人に行きたいのであれば会計士の資格を取る必要はありません。
税理士を取得しましょう。
まずは、会計監査をしっかりやろう
会計士試験に合格しただけでは、会計士を名乗ることはできません。
しっかりと実務経験を積む必要があります。
そして、実務経験は監査法人の業務が一番です。
クライアントからの相談も勉強した会計監査に関することです。
もちろん最初は苦労します。
でも、勉強してきたことの延長です。
大量にインプットしてきた知識を活用して、クライアントからの相談に回答するのは楽しいですよ。
社会人1年目は、仕事以外にもマナーや雑務など覚えることがたくさんあります。
そんな中、勉強してきた内容以外のことをさらに勉強するのは大変です。
インプットした知識を実践で消化して、自分の血肉にしましょう。
ちなみに税理士法人の業務だけでは、会計士登録に必要な実務要件はみたしません。
提携先の監査法人で業務を経験することが一般的です。
しかし、あくまで実務要件を満たすための最低限の業務のみです。
監査がしたいのであれば、監査法人にいきましょう。
両方できるわけではありません。
メインは、税務業務です。
自分が何をしたいのか明確にしましょう。
明確でないなら、監査法人に行って多様なモデルケースを見てからで十分間に合います。
税理士法人に行ったから独立できるわけではない
将来、独立を検討しているから税理士法人で税務経験を積む。
そう考えている人もいると思います。
しかし、税理士法人の業務と個人で開業している税務業務は大きく異なります。
特に会計士を募集しているような大きな税理士法人は、業務内容もかなり大きいです。
上場会社の税務や国際税務など、高い専門性が求められます。
複数のプロフェッショナルが業務を遂行していきます。
しかし、中小企業の法人税、消費税の確定申告が中心になる個人事務所で求められる知識とは異なります。
独立開業して中小の税務を中心に仕事するなら、大手税理士法人の業務は参考になりません。
私が勤務していた税理士法人も、独立には向かないと名言していました。
実際、勤務していた税理士の方も独立を検討している方は少数派でした。
税理士法人の特色もあると思いますが、会計士も所属しているような税理士法人は規模も大きいことから、独立して個人で仕事する際に参考にならないことが多いです。
繰り返しになりますが、最初から税務で独立することを検討しているなら税理士を取得しましょう。
例外は明確なビジョンのある人
今まで散々監査法人に行けと書いてきましたが、万人共通ではありません。
税理士法人に入所した同期で今も活躍している人がいます。
彼は、最初から明確なビジョンがあった。
その法人でエキスパートになり、活躍する目標が。
そして、見事にその目標を達成しています。
彼と私の違いは、
明確な目標があったか否か。
結局、会計士としての明確な目標がある人はキャリアのスタートもしっかり決めています。
しかし、明確に決まっていない人もいるんではないでしょうか。
そんな人は、あえてマイノリティになる必要はありません。
監査法人でスタートしましょう。
色んな会計士、業種、業務を経験しているうちに自分の得意分野がわかってきます。
監査法人以外の業務は、その後でも大丈夫です。
まとめ
会計士試験は、長い道のりです。
せっかく手にした資格ですから、スタートはしっかり検討しましょう。
監査法人だから間違いないわけではありません。
しかし、大多数が監査法人でキャリアをスタートさせています。
同期とのコネクションは多いほうがいいです。
監査法人で会計士の繋がりを増やすのは、将来的に資産になります。
将来、独立したり一般事業会社でCFOするにしても相談できる会計士とのコネクションが自分の価値につながります。
明確なビジョンがない場合には、監査法人からキャリアをスタートさせるべきです。
その後やりたいことができたら転職しましょう。
監査法人の経験は無駄になりません。
監査業務は、会計士の独占業務です。
それ以外の業務は、会計士の資格がなくてもできます。
会計士なのに監査をしたことがないのは、ラーメン屋なのに餃子しか作れませんといっているようなものです(よくわからん例え)
とにかく、キャリアのスタートは慎重に決めて欲しいのです。
もし監査法人が全滅だったら、翌年の就職を目指しましょう。
その間は、TOEICスコアやPCスキルを磨き市場価値を上げておきましょう。
TOEICの勉強法についても、私のブログにまとめてありますので参照してください。
TOEIC学習に100万円かけた結果、スタディサプリ(7万円)で十分でした
皆様の会計士キャリアが光り輝くものでありますように。
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